- 食
- 2020.03.27
あたらしくておいしい日本茶レシピ
撮影=西山 航
普通煎茶
お茶の新芽を摘み取り、蒸して殺青(さっせい)し、揉みながら乾かして針状に撚(よっ)た一般的な製法のお茶。甘み、旨味、渋みのバランスがとれている。上質なものは少し低めに冷ましたお湯で淹れると旨味が引きたつ。 (写真 1 と 4)
和紅茶
お茶の葉を摘み取った後、酸化発酵させた茶葉を使い、紅茶の工程でつくる。味も香りも甘く、渋みが少なく、柔らかさを感じる。紅茶にする品種も生産者も増えてきて、需要も高まっている。 (写真 2 と 8)
抹茶
摘み取る前に覆いをかけて日を遮って育てられたお茶の葉を使い、葉を蒸してそのまま乾かし、石臼で挽いて粉にしたもの。 (写真3)
蒸し製玉緑茶
お茶の葉を摘み取った後、蒸して殺青し、揉みながら乾かした曲がった形状のお茶。甘くて旨味があり、濃すぎないので人気。 (写真5)
ほうじ茶
でき上がったいろいろなお茶をさらに焙ほうじた(焙煎した)お茶。香ばしい風味で、カフェインも少なく、飲みやすい。焙じ具合で色やコク、甘さに違いが出る。 (写真 6 と 9)
深蒸し煎茶
お茶の葉を摘み取った後、普通煎茶よりやや長く蒸して殺青し、揉みながら乾かし、棒状に撚ったお茶。さっと味が出るわりにコクがあり濃厚。 (写真 7)
釜炒り製玉緑茶
お茶の葉を摘み取った後、釜で炒って殺青し、揉みながら乾かした曲がった形状のお茶。ふわっと甘い香りで、すっきりした味。 (写真 10)
ハーブと合わせて
フレッシュハーブを急須の茶葉に加えて淹れるだけ。清々しいハーブの香りがたち、飲むとしっかり日本茶という、新鮮な味わい。
手順
1)急須に入れるハーブは、4g ほどを目安にザクザク刻む(香りの強いハーブは少なめにして様子をみる)。飾り用に先の小さい葉を切り、カップに入れる。
2)急須に茶葉を入れ、準備したハーブを加え、お湯を注ぎ浸出させる。
3)飾り用のハーブを入れた1 のカップに注ぐ。
*抹茶の場合は、あらかじめ熱湯の中にハーブを入れ、香りを移しておく。お湯の温度が下がったらハーブを取り除く。ハーブを適量入れたカップに注ぐ。
(写真、上から反時計まわりに)
普通煎茶+ふきのとう
茶葉4g、お湯80℃・240ml、浸出時間1 分
他にレモングラスも合う
普通煎茶+しそ
茶葉4g、お湯80℃・240ml、浸出時間1 分
抹茶+スペアミント
抹茶2g、お湯70℃・100ml
和紅茶+山椒
茶葉4g、お湯90℃・240ml、浸出時間2 分
他にカモミールやアップルミントも合う
深蒸し煎茶+レモングラス
茶葉4g、お湯80℃・240ml、浸出時間30 秒
他にコリアンダーも合う
釜炒り製玉緑茶+レモンバーム
茶葉4g、お湯80℃・240ml、浸出時間1 分
他にローズマリーも合う
ほうじ茶+アップルミント
茶葉5g、お湯90℃・240ml、浸出時間1 分
他にディル、バジルも合う
深蒸し煎茶+ディル
茶葉4g、お湯80℃・240ml、浸出時間30 秒
炭酸を加えて
急須にお湯を注ぎ、茶葉を開かせてから炭酸水を加えるので、浸出に時間がかからず、すぐに冷たく飲める。風味は穏やかで、シュワッと微炭酸。お酒のような感覚で、食事にも合わせてみて。
手順
1) 急須に茶葉を入れ、少量のお湯をゆっくり注ぐ。
2)1 分おいて、茶葉をゆっくり開かせる。
3)炭酸水(無糖)をゆっくり数回に分けて注ぎ(左ページ)、さらに1分おく。
4)ひと混ぜしたら茶こしでこし、グラスに注ぐ。
*抹茶の場合は茶碗に茶こしでふるった抹茶を入れ、お湯を注いで茶せんで点てる。炭酸水をゆっくり注ぎ、ひと混ぜしたら、グラスに注ぐ。
(写真右、左から)
和紅茶+炭酸
茶葉6g、お湯90℃・20ml、炭酸200ml
ほうじ茶+炭酸
茶葉6g、お湯90℃・30ml、炭酸200ml
抹茶+炭酸
抹茶4g、お湯70℃・40ml、炭酸200ml
普通煎茶+炭酸
茶葉6g、お湯80℃・20ml、炭酸200ml
お酒と合わせて
煎茶ジン
1)釜炒り製玉緑茶、または普通煎茶3g を容器に入れてジン50ml を注ぐ。3 時間~一晩おくと色と風味が抽出される。
2)茶こしでこす。
3)グラスに砂糖小さじ1/2 を入れ、2 を注ぐ。
4)お好みで炭酸水、もしくは白ブドウジュース150ml を静かに注ぐ。
抹茶ビール
1)抹茶2g を茶こしでふるい、器に入れる。
2)水10ml を加え、茶せんで練り混ぜる。
3)お湯10ml を加え、茶せんで香りをたてるように混ぜる。
4)水50ml を加え、しっかりと茶せんで泡を立てる。
5)グラスに注いだビール350ml に、4 をそっと注ぐ。
日本茶のあたらしい魅力を見つけませんか
文=本間節子
お菓子教室を始める少し前に、日本茶に詳しくて面白いお茶屋さんに出会い、日本茶について深く学ぶ機会に恵まれました。その方から日本茶インストラクターという資格制度立ち上げの話を聞き、日本茶をもっと知り、お菓子の仕事にも役立てたいと思い、その資格を取りました。
あらためて、日本茶の魅力を感じ、今の時代に合った、日本茶のいろいろな楽しみ方を、お菓子をつくる私ならではの視点で伝えたい、という気持ちから、日本茶レシピをつくることになりました。
私は、日本茶をまずは丁寧に淹れ、そのままおいしくいただくことを大事にしています。それと同じくらい、おいしいうちに飲みきりたいとも思います。「お湯を沸かし、適温に冷まして急須で淹れ、飲んだ後に茶葉を捨てる」。このシンプルな作業を忙しい毎日の中、時には億劫に感じてしまうこともあるでしょう。お茶を開封してからあっという間に1ヵ月がたち、味や香りが変わってしまうこともあります。そんな時には気分を変えて、別の角度から日本茶を楽しもうと思うようになりました。
日本茶は甘みや乳製品と相性が良いほか、炭酸を加えても、ハーブや野菜、フルーツを加えても良いので、きっと皆様が今までに味わったことのない、あたらしくておいしい日本茶に出会っていただけると思います。また、日本茶には健康作用も期待でき、殺菌効果も高く、ビタミンも含んでいます。また、きりっと気持ちを高めたり、逆にリラックスさせる効果もあります。
このレシピを通じて、日本茶のあたらしい楽しみかたを身近に感じ、暮らしに取り入れていただけたら幸いです。
本間節子(ほんま・せつこ)
お菓子研究家、日本茶インストラクター。自宅でお菓子教室「atelier h(アトリエ・エイチ)」を開くほか、書籍や雑誌でのレシピ提案、日本茶のイベントや講習会などで幅広く活躍している。著書に『日本茶のさわやかスイーツ』(世界文化社)、『まいにちのお菓子づくり』(主婦の友社)など。
<この記事は『あたらしくておいしい日本茶レシピ』(世界文化社/文=相馬素子、スタイリング=chizu)の内容を紹介したKateigaho International Japan Edition 2018 Autumn/Winterの特集ページより抜粋。>
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