2020.04.29

お弁当
箱いっぱいのおいしい幸せ―1

作って楽しく食べて嬉しいお弁当で、おうちでピクニック気分のランチタイムを過ごしてみませんか。予約の取れないレストラン「賛否両論」の笠原将弘シェフによる、とっておきのレシピと作り方のコツをご紹介。お弁当箱の中には、おいしさと幸せが詰まっています。

料理・レシピ監修=笠原将弘 スタイリング・文=坂本敦子 協力= UTUWA
Kateigaho International Japan Edition 2015 Spring/Summerの特集ページより抜粋。>


日の丸弁当

角張った弁当箱に白いご飯、中央に赤い梅干しがひとつ。このさまが日本の国旗に似ている、というのが名前の由来だ。日本人なら誰もが知る弁当だが、「本来はご飯と梅干しだけのもの。現在のように多彩なおかずが入るのは贅沢版といえます」と笠原さん。鮭の塩焼きやだし巻き卵などの定番おかずで、日本の王道の味を揃えた。

レシピ
<2 人分>

[ 材料]
ご飯 ……………………………………………………… 400g
梅干し ……………………………………………………… 2 粒

おかず1・鮭の塩焼き
[ 材料]
生鮭(切り身) ………………………………………… 2 切れ
塩………………………………………………………… 適量

❶ 鮭は両面に塩をふって15 分おき、出てきた水分を拭き取る。
❷ 魚焼きグリルで表面においしそうな焼き色がつくまで中火で焼く。

おかず2・きんぴらごぼう
[ 材料]
ごぼう …………………………………………………… 100g
にんじん …………………………………………………… 80g
サラダ油 ……………………………………………… 大さじ1
A
・日本酒 ………………………………………… 大さじ3
・醤油……………………………………………… 大さじ2
・砂糖……………………………………………… 大さじ1
白ごま ………………………………………………… 大さじ1
一味唐辛子…………………………………………………少々

❶ ごぼうとにんじんは皮をむき、4cm 長さの細切りにする。
❷ フライパンにサラダ油を熱し、①を炒める。しんなりしたらA を加えて、炒め合わせる。仕上げに白ごま、一味唐辛子を加え、混ぜ合わせる。

おかず3・だし巻き卵
[ 材料]
卵…………………………………………………………… 3 個
A
・だし汁 ……………………………………………… 45ml
・薄口醤油………………………………………… 小さじ1
・砂糖……………………………………………… 大さじ1
サラダ油 ……………………………………………… 大さじ2
一味唐辛子…………………………………………………少々

❶ ボウルに卵を割りほぐし、A を加えてよく混ぜ合わせる。
❷ 卵焼き器を火にかけて温め、サラダ油を入れて全体になじませる。余分なサラダ油はボウルなどにあけてとっておき、そのつど使う。


❸ ①の⅓ 量を卵焼き器に流し入れて広げ、気泡を菜箸でつついてつぶす。


❹ 表面が固まる前に、奥から手前にたたむ。
❺ 奥のあいたところにサラダ油を塗り、たたんだ卵を奥に寄せる。


❻ 手前にサラダ油を塗り、①の⅓ 量を流し入れ、奥に寄せた卵を少し持ち上げ下にも流し込む。同様にして残りの⅓ 量を焼く。


❼ 仕上げは四隅を使い、形を整える。冷めたら弁当箱の高さに合わせて切る。

おかず4・アスパラガスのごまあえ
[ 材料]
アスパラガス ……………………………………………… 2 本
塩……………………………………………………………少々
A
・白すりごま ……………………………………… 大さじ1
・醤油……………………………………………… 大さじ1
・砂糖……………………………………………… 小さじ1

❶ アスパラガスは根元を切り落とし、根元から⅓ ほどの皮をむき、一口大の乱切りにする。
❷ ①をさっと塩ゆでし、ざるに上げて冷ます。
❸ ②をA であえる。

おかず5・昆布のつくだ煮
[ 材料]
昆布……………………………………………………… 100g
※だしをとった後のものや、早煮昆布( 煮もの用などの、早く煮える薄めの昆布)
実山椒の水煮………………………………………… 大さじ2
A
・水 ……………………………………………… 800ml
・酢………………………………………………… 大さじ2
・醤油………………………………………………… 100ml
・砂糖…………………………………………………… 50g

❶ 昆布は3cm 角に切る。
❷ 鍋にA、①、実山椒を入れて火にかけ、沸騰したらあくを取る。落しぶたをして弱火で2 時間ほど、煮汁がほとんどなくなるまで煮る。

<笠原シェフに学ぶ弁当作りのコツと詰め方>
笠原さんが考える弁当とは、「自分がおいしいと思うもの、食べる人が喜ぶ料理を作ること。献立は主役になるおかずを先に決めて、あとはバランスをみて考えます」。
ここでは日の丸弁当の詰め方を中心に、弁当作りのコツを伝授していただいた。

お弁当の詰め方

①ご飯は熱いうちに弁当箱に詰める。手前半分は弁当箱の高さ近くまで、奥に向かって低く、余白を残して詰める。point →ご飯は熱いほうが弁当箱の形に沿わせやすく、詰めやすい。
②余白の右上にだし巻き卵を詰める。point →四角に形の整っているものは角に入れるとよい。

③だし巻き卵の隣にきんぴらごぼうを詰める。
④左上にアスパラガスのごまあえを詰める。ここまでで横1列に、余白を埋めるように詰める。
point →形に融通がきくおかずで隙間を埋めるようにする。

⑤ご飯に重ねるように鮭の塩焼きをのせる。point →主菜や色がきれいなものは上、または中央におく。
⑥昆布のつくだ煮を添える。point →同じような色が隣り合わせにならないように工夫すると、全体が彩りよく仕上がる。
⑦梅干しをのせて、でき上がり。

おいしい弁当作りのコツ ~基本編~
1)肉は脂身の少ないものを選ぶこと。脂は冷めると舌触りや味を悪くする。
2)炒めものには植物性の油を使う。バターは寒い時期は固まってしまう。
3)素材にはしっかり火を通すこと。
4)水分厳禁。ほかのおかずやご飯に味が移ったり、見栄えを損なうだけでなく、傷みの原因にもなる。汁気があるおかずは、別容器か仕切りカップなどを使って。
5)余分な油や汁気はキッチンペーパーで取り除く。揚げものなどは冷めてもある程度カリッとした食感を保つことができる。
6) 粗熱を取ってからふたを閉める。これも傷みを防ぐコツ。

笠原将弘 (かさはら・まさひろ)
1972 年東京生まれ。「正月屋吉兆」で9 年修業した後、実家の焼き鳥屋「とり将」を継ぐ。2004 年、東京・恵比寿に“ 賛否両論されることを覚悟で” 日本料理店「賛否両論」を開店。またたく間に予約の取れない人気店になる。ファン待望の名古屋店、金沢店なども続々オープン。テレビや雑誌で活躍するほか、料理店のプロデュースやチャリティーイベントに携わるなど、常に新しいことに挑んでいる。日本料理界で最も注目される料理人のひとり。
www.sanpi-ryoron.com

 

Part 2へ続く>