- 食
- 2020.05.14
世界へ羽ばたく"キャメルファームワイナリー"の挑戦―2
撮影=大泉省吾 文=露木朋子
畑を作る、ワインを造る。100年先を見据えた丁寧な手仕事
40年以上にわたり培われたブドウ栽培のノウハウ、徹底した栽培管理と収穫時期の見極め、イタリアのワイン醸造の歴史と最新技術。これらすべてを融合し、丁寧な手仕事でワイン造りに向き合っているのがキャメルファームワイナリーだ。現場は、ワイナリー長・伊藤さんを中心にした栽培チームと醸造チームの合計10人が連携している。誰もが、テロワールを最大限に生かした「クリーンで安心安全」な世界へ誇れるワイン造りへの想いを強く持つ。
栽培から収穫、醸造、ボトリング、ラベリング、そして出荷まで、すべての工程に人の目が光り、手がかけられる。「大切なのはブドウの量よりも質。そのために一つ一つ芽を整え、その木に適切な房数のブドウ栽培を心がけています。クリアなワインのためには病果一つ許されません。収穫はすべて手摘みで、一粒一粒、人の手で選果され、すぐに敷地内の醸造所へ運び、仕込みを行います。こうした作業が華やかで香り高いワインを生み出すのです。」(伊藤さん)。
南側の斜面を生かしたブドウ畑は全部で16.2ha。ケルナー、シャルドネ、バッカス、ピノノワール、レジェント、ブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルトレーベなど10種が栽培されている。その土地に合ったブドウを育て、そのブドウに合ったワインを造る。常に何よりも「テロワールありき」だ。その年のブドウの状態に合わせて、醸造方法やセパージュを大きく変えているのも、どのスタイルがもっともテロワールを表現できるのかを探るため。
最新の設備を持つ醸造所は、ブドウの糖度や酸度、pHなど、一年を通じて細部にわたる項目を正確に測定。データ化して、コタレッラ氏の本拠地があるイタリアのラボに送り、綿密に相談を重ねる。収穫時期からボトリングのタイミングまで、各工程の指標となる大切なデータだ。その積み重ねはキャメルファームワイナリーの大きな財産となる。
出来上がったワインは、酒販店やワイン取扱店のほか、グループが運営する直営店舗へと出荷される。人手が必要な収穫の時期にはカルディコーヒーファームをはじめグループのスタッフが全国から駆け付ける。つまりブドウの収穫から販売までを同じグループ内で行えるのだ。これはトレサビリティの実現として理想の形といえるだろう。
収穫に携わったスタッフは産地と私たちの食卓を直接繋ぐ、キャメルファームワイナリーのアンバサダーなのだ。「 私たちが今行っていることは50年後、100年後のキャメルファームワイナリーの土台作り。企業だからこそ出来るかもしれない、持続可能なワイナリーを目指しています」と伊藤さん。次の世紀を見据えたキャメルファームワイナリーの挑戦は、始まったばかりだ。
キャメルファームワイナリー
Tel. 0120-934-210
camelfarm.co.jp
見学不可
<この記事は家庭画報国際版2020年春夏号より抜粋。>
最新号
2021 Spring / Summer