左から:ブドウはつぶれぬようふんわりと収穫箱に入れられる。晩秋、最後の収穫をする伊藤さん。白ワインの葉は黄色に、赤ワインの葉は赤く色づく11月。「 アンバサダー」と呼ばれるグループ内のスタッフたちが、ブドウを一粒ずつ最終選果する。
2020.05.14

世界へ羽ばたく"キャメルファームワイナリー"の挑戦―2

撮影=大泉省吾 文=露木朋子

畑を作る、ワインを造る。100年先を見据えた丁寧な手仕事
40年以上にわたり培われたブドウ栽培のノウハウ、徹底した栽培管理と収穫時期の見極め、イタリアのワイン醸造の歴史と最新技術。これらすべてを融合し、丁寧な手仕事でワイン造りに向き合っているのがキャメルファームワイナリーだ。現場は、ワイナリー長・伊藤さんを中心にした栽培チームと醸造チームの合計10人が連携している。誰もが、テロワールを最大限に生かした「クリーンで安心安全」な世界へ誇れるワイン造りへの想いを強く持つ。


左:収穫はすべて手摘み。横に可動するカートに座りながら行われる。右:一日の収穫を終えたら、最後にハサミの手入れも。

栽培から収穫、醸造、ボトリング、ラベリング、そして出荷まで、すべての工程に人の目が光り、手がかけられる。「大切なのはブドウの量よりも質。そのために一つ一つ芽を整え、その木に適切な房数のブドウ栽培を心がけています。クリアなワインのためには病果一つ許されません。収穫はすべて手摘みで、一粒一粒、人の手で選果され、すぐに敷地内の醸造所へ運び、仕込みを行います。こうした作業が華やかで香り高いワインを生み出すのです。」(伊藤さん)。


左:畑と醸造所は隣接している。ブドウの鮮度が保たれたまま、加工が始まる。この距離の近さもワインの質を決める大切な要素。右:醸造所へ運ばれたブドウは選果の最終チェックを行うコンベアーへ。

南側の斜面を生かしたブドウ畑は全部で16.2ha。ケルナー、シャルドネ、バッカス、ピノノワール、レジェント、ブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルトレーベなど10種が栽培されている。その土地に合ったブドウを育て、そのブドウに合ったワインを造る。常に何よりも「テロワールありき」だ。その年のブドウの状態に合わせて、醸造方法やセパージュを大きく変えているのも、どのスタイルがもっともテロワールを表現できるのかを探るため。


最新の設備を誇る醸造所には、シャルマタンク6基を含む温度管理が出来るステンレスタンクが45基。生産量は最大約15万本分。醸造中も常にチェックを怠らない。

最新の設備を持つ醸造所は、ブドウの糖度や酸度、pHなど、一年を通じて細部にわたる項目を正確に測定。データ化して、コタレッラ氏の本拠地があるイタリアのラボに送り、綿密に相談を重ねる。収穫時期からボトリングのタイミングまで、各工程の指標となる大切なデータだ。その積み重ねはキャメルファームワイナリーの大きな財産となる。


ラボで記録されたデータはすべてイタリアに送られる。


樽貯蔵庫の壁の銅線内部には冷水やお湯が流れるようになっていて、空気を大きく動かさず、年間を通して庫内を気温16度、湿度70%に保つことが可能。

出来上がったワインは、酒販店やワイン取扱店のほか、グループが運営する直営店舗へと出荷される。人手が必要な収穫の時期にはカルディコーヒーファームをはじめグループのスタッフが全国から駆け付ける。つまりブドウの収穫から販売までを同じグループ内で行えるのだ。これはトレサビリティの実現として理想の形といえるだろう。


左:ブドウ畑の冬支度。ブドウの枝を剪定し、雪の中に倒す。雪の中で越冬させることで、樹木が凍るのを防ぐ。右:真冬のブドウ畑。ブドウの木はすべて雪の下に。

収穫に携わったスタッフは産地と私たちの食卓を直接繋ぐ、キャメルファームワイナリーのアンバサダーなのだ。「 私たちが今行っていることは50年後、100年後のキャメルファームワイナリーの土台作り。企業だからこそ出来るかもしれない、持続可能なワイナリーを目指しています」と伊藤さん。次の世紀を見据えたキャメルファームワイナリーの挑戦は、始まったばかりだ。


左:瓶内二次発酵のスパークリングワイン用のピュピトル。毎日手作業でルミアージュが行われる。右:ラべリングやボトリングの最終チェックも人の目を通して。


ミュズレやエチケットには漢字とローマ字で「繋/tsunagu」の文字が。人と人の気持ちが繋がって生まれたワイナリーの象徴だ。

 

[Part 3へ続く]


キャメルファームワイナリー
Tel. 0120-934-210
camelfarm.co.jp
見学不可

<この記事は家庭画報国際版2020年春夏号より抜粋。>