ライフスタイル
2021.03.11

知られざる花の国
日本・高知県―2

撮影=鈴木一彦

日本の主な4島の中で最も小さい島、四国に位置する高知県。ここが今、ジャパンクオリティの「花」の生産地として、世界でじわじわと人気を高めつつある。花と暮らす文化が脈々と受け継がれてきた日本から、高知県に咲き誇る生命力をフィーチャーする。

[Part 1から続く]

 

日本人の感性を表現する花

日本人が昔から親しみのある花といえば、茶花ではないでしょうか。華美に装飾する生け花とはまた少し違って、山野に咲く花をそのまま床の間に生ける茶花は、ありのままの美しさを感じられる日本ならではの花だと思います。僕は、自然が豊かな三重県の菰野(こもの)町で生まれ育ち、手を加えずとも美しい植物を常々見てきました。だから、花を生けるときには、それ自体の美しさを損なわないよう、敬うように1本ずつ丁寧に扱うことを心がけています。


苔木の隙間から白のトルコギキョウをメインに、テッポウユリ、デルフィニウム、ホワイトスター、マトカリアなど、10種類以上の花が顔を出している。

今回の作品は、屏風画の「風神雷神図」から着想を得て制作しました。菰野町のアトリエ付近で長い年月を経て成長した苔木(こけぼく)と、高知県産の白とグリーンを基調としたテッポウユリやトルコギキョウ、ノーブルリリーなどを、非対称に繋げて幅3m以上もある屏風を這うように飾っています。

自然を愛する日本人は、人の手により形を変えられたものよりも、自然に近い不完全でアンバランスなものを好みます。そしてその不完全な美に触れると、言葉にしがたい「背筋が伸びるような感覚」が走るのです。佐々木直喜の作品は、いつも日本人特有の美意識を感じさせるものでありたいと思いながら、花を生けています。


黄色のグロリオサやトルコギキョウ、アジサイなどが芽を出すように苔から伸びる様子は、春の生命の芽吹きを表現している。「真(しん)」となる苔梅枝が前面に迫るような勢いのある佐々木さんの作品。

そしてもうひとつ、僕が作品を作るうえで大切にしているのが四季折々の花です。屏風の作品にも春の到来を告げるウメを使っていますが、日本には季節を表現する草花が豊富にあります。海外で花を生けると、四季の花はおろか、花の品種自体が少なく花材選びに苦労することが多いんです。その度に、日本には恵まれた自然環境があること、そして努力を惜しまず高品質で種類豊富な花をつくってくれている生産者さんがいることを、とても有難く感じます。なので、この作品も高知をはじめ、日本の花への感謝の思いを胸に製作しました。僕なりの感性で表現した作品を通して、日本の花の魅力を世界中の人々に届けられれば嬉しいです。
(佐々木直喜さん・談)

 

佐々木直喜
1967年、三重県菰野町で生まれる。2006 年にベルギーで行われた「国際フローラルアート年鑑0506」で最優秀賞受賞。洞爺湖サミットや伊勢志摩サミットなど国際的な会場での実績があり、洋書作品集も出版している。
www.naoki-sasaki.com

 

高知県の情報はこちら
https://visitkochijapan.com/en

高知県の花についてのお問い合わせ
160701@ken.pref.kochi.lg.jp

 

[Part 3へ続く]

<この記事は家庭画報国際版2021年春夏号より抜粋。>