- 東京
- 2021.01.15
東京の未来へとつながる庭園
首都東京において、官庁やオフィス、大使館などが集中している虎ノ門エリア。その昔、江戸城の南端の門、「虎の御門」があったことがこの地名の由来といわれている。昨今では大規模な都市整備開発が進行中で、ホテルなどを含む文化エリアの充実も進んでいる。
虎ノ門は高低差に富んだ地形で、数多くの坂がある。なかでも東京に暮らす人にはよく知られる霊南坂と江戸見坂に囲まれた約2.6haの敷地に、最高級ホテルThe Okura Tokyoがある。大規模な建て替え工事を経て2019年秋にオープンした際、敷地面積の半分、約1.3haを「The Okura Tokyo ランドスケープ」と名付けた。このランドスケープが、2020年9月に公益財団法人 都市緑化機構が主催する歴史ある賞、「緑の都市賞」を受賞した。
傾斜地という立地条件を生かし、ダイナミックな自然景観を作り出したランドスケープは、2つの庭園からなる。
1つは「オークラ庭園」。水をキーコンセプトに、その流れを石や砂利を用いて抽象的に表現。水盤や落水、湿地などが庭園内を連なるようなイメージで設計された。ホテルのシンボルツリーとして歴史を重ねてきた大銀杏やクスノキも移植されている。
もう1つが「江戸見坂公園」。桜やヤマボウシ、銀杏など日本の四季を彩る植栽も美しいが、最大の特徴は防災機能を備えていること。広場にはマンホールトイレを5基、地下には雨水貯留槽を設置して、災害時の指定避難場所としての役割も果たしている。
都会のオアシスとして、そして防災の拠点として。The Okura Tokyoとともに成長していく2つの庭園は、緑豊かな未来の東京を育んでいくことだろう。
The Okura Tokyo
Tel. 03-3582-0111
https://theokuratokyo.jp
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