「左の作者は月岡芳年(つきおかよしとし)、右は歌川国芳(うたがわくによし)。ともに海外でも人気の浮世絵師です」と説明してくれたのは、店主の川村敏郎さん。版画のほかに、煙草入れや印籠といった「提物(さげもの)」も扱っている。
東京
2019.12.13

東京新発見
―骨董市でお宝探し

文=清水千佳子

東京には数々の味のあるアンティークに出合える骨董市がある。幅広いラインナップのなかから、宝探しのように自分のお気に入りを探すのはなんとも楽しい。さらに合わせて魅力的なのが自らの商売に一家言ある店主たち。彼らとの交流もマーケットの醍醐味だ。

大江戸骨董市
―露天骨董市では日本最大級
骨董の目利きが「掘り出し物が見つかる」と太鼓判を押す骨董市は、 第1、第3 日曜に有楽町「東京国際フォーラム」で、代々木公園でも年に5 回程不定期で開催される。約250 店の出店者がそれぞれ工夫して陳列しているのは、陶磁器、漆器、民芸品、版画、家具、きもの、アクセサリーなど多種多様。知識がなくとも、眺めているだけで楽しい。

写真はすべて東京国際フォーラム開催時のもので、上は日本の古い家具を専門とする「古録展(ころくてん)」のスペース。天候や会場の都合で日時が変更になる場合があるので、出かける際はウェブサイトで確認を。


左:常時、外国人客で賑わっていたのが、きもの姿が艶やかな越田知佳さんの店。きものを中心に、和装に合うショールやバッグ、草履なども販売している。右:1 つ1 つ木箱に入っているのは、主に江戸時代に製作された刀の鍔(つば)。店主の丹生健介さん曰く「外国の人は象嵌(ぞうがん)が施されたものなど豪華な鍔が好きですね」。

高幡不動ござれ市
―お寺の境内は風情たっぷり
新宿駅から京王線の特急電車で約30 分、都心から少し離れたのどかな町に、関東三大不動の一つに数えられる「高幡不動尊金剛寺」はある。

その広い境内で初めてござれ市が開催されたのは1988 年。現在の主催者である古久根淳子さんの亡き夫、薫さんが始めたもので、その名は「日用品や趣味のものなど、古いものは何でもござれの骨董市」を意味する。「格式のある境内で四季折々の風景を眺めながら、自分好みのものをのんびりと探せるのが、ここのいいところです」と古久根さん。なお、市を楽しむ前に参拝をお忘れなく。


本業は岐阜県下呂市の材木店店主という熊崎益夫さんの店には、手頃なものから高級品まで、数え切れないほどの盃が並ぶ。鮮やかで豪華な絵付けが特徴の九谷焼が多く、日本土産におすすめ。

 

大江戸骨董市
千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラム1 階地上広場
毎月第1、第3 日曜日 午前9 時~午後4 時開催
※ 2020 年7 ~ 9 月は開催なし
www.antique-market.jp

高幡不動ござれ市
日野市高幡733 高幡不動尊金剛寺
毎月第3 日曜 午前7 時~午後4 時開催
kanagawa-antique-market.crayonsite.net