- 伝統
- 2020.07.30
きものの文様―16
【龍(りゅう)】古代中国の想像上の動物
古来、日本のきものに施されてきた美しい「文様」。そこからは季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、時代ごとの社会のしきたりを読み解くことができる。夏にちなんだ文様を中心に、きものの装いで通年楽しめるものや格の高い文様まで、文様のいわれやコーディネート例を、毎週お届けする。
今週は水にまつわる文様をご紹介しよう。
龍は鳳凰(ほうおう)とともに、古代中国で作り出された想像上の動物で、天に昇って雨を降らすと信じられた。その姿は、数種の実在の動物を組み合わせて作られており、角は鹿、頭は駱駝(らくだ)、爪は鷹(たか)をモチーフにしたとされている。
中国では古くから、鳳凰、麒麟(きりん)、亀、龍は四瑞(しずい)といって、めでたいときに現れる生き物とされ崇められてきた。
さらに、4つの方角を守る神、四神(しじん)のひとつで、龍は青龍として東の方角を守る。写実的な龍の文様が日本に伝わったのは飛鳥時代と考えられている。
龍文(りゅうもん)
中国では時代とともに、龍の姿は変化している。蛇(へび)のような形から鱗(うろこ)や長い尾、翼などが加えられてきたが、日本では長い角と髭(ひげ)を持ち、体が鱗で覆われた姿が一般的だ。
龍文は吉祥文様のひとつとして工芸品や染織品に広く使われた。向かい合う2匹の龍は双龍(そうりょう)、龍の尾と頭をつなげて小さく円形にしたものは丸龍(まるりゅう)、龍を方形で表したものは角龍(かくりゅう)と呼ばれ、瑞雲と組み合わせた雲龍なども見られる。<雲文様の記事はこちら>
【きものの装いにおすすめの季節】
通年
『格と季節がひと目でわかる――きものの文様』
監修者/藤井健三
世界文化社
今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができる。きものや帯にはそれぞれ素材や文様によって格があり、着る場面に合わせて格を揃える必要がある。判断に迷う格と季節が表示され、コーディネート例も豊富に紹介している、見ているだけで楽しく役に立つ1冊。
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