見事な日本美に彩られたホテル雅叙園東京の和室宴会場玄関。
2019.10.25

"侘び寂び"の美意識に彩られた客室に憩う
―ホテル雅叙園東京

知る人ぞ知る”日本美のミュージアムホテル”、ホテル雅叙園東京。90余年前の創業時に、日本芸術界の巨匠たちがこのホテルのために手掛けたという歴史的に価値のある日本画や彫刻、螺鈿(らでん)や組子細工が絢爛豪華に配され、見るだけでなくアートに触れ、体感し、さらには宿泊することもできる実に稀有なホテルである。

この美の館の6階に、2019年7月、和の心を新しいコンセプトとした12部屋の和客室が誕生した。和の心は”侘び寂び”とも呼ばれ、自然や人を敬い、清らかさや静謐を尊び、調和のとれた心にこそ美は宿る、と考える茶道の精神を指す。


目黒川に面した「相模」のリビングルーム。

新しい客室は、訪れる人をそんな心持ちへと誘う工夫が随所に施されている。たとえば客室へと向かう廊下は露地に見立てられ、柔らかなお香が馥郁と香る。玄関にはカラカラと音を立てて開く風情ある格子戸。茶室をイメージした客室はすべて畳敷きながら寝室にはベッドを採用。茶席で用いられる風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)にインスパイアされた西陣織のヘッドボードが施され、日本の文様の雅やかな美しさで客人をもてなす。


各部屋にあるヘッドボードの西陣織。

また各客室は日本の地名に由来する名前がつけられており、それに合わせてヘッドボードの西陣織や襖絵、若手の現代作家を起用した日本画などの室内装飾がすべて異なる仕様となっている。風雅な佇まいの部屋とは対照的に、バスルームは広々とモダンで、全室にサウナも完備。


和客室「相模」の名は、日本ならではの感性や美意識が磨かれた平安時代(794~1185年)を象徴するかのように、煌びやかで高貴な文様が随所に施されている。すべての客室が80㎡以上のスイートルームであるホテル雅叙園東京の中でも、この客室は120㎡の広さを誇る。

宿泊者専用のエグゼクティブラウンジ「桜花(おうか)」では、朝食からカクテルタイムまで、さまざまな美食のプレゼンテーションが待っている。


エグゼクティブラウンジ「桜花」のアフタヌーンティー。

古の日本美と今様の快適さが見事に調和し、滞在を終える頃には、再びここを訪れたいという新しい旅への期待があなたの中で高まっているに違いない。

hotelgajoen-tokyo.com

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